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生徒会室に到着し、中に入る。
どうやらメンバーたちは和気あいあいと話していたようで、扉が開いた瞬間には明るい話し声が聞こえてきた。
しかし扉が開ききって俺の姿が見えるなり、風の向きが変わったようにプツリと話し声が止んだ。
重苦しい、凍りつくような沈黙に、俺は何とも言えない居たたまれなさを感じた。
「輝!待ってたぜー」
そんな気まずさを解消するように、一樹は席から立ち上がってこちらに来た。
「あれ、高梨も?」
「資料運ぶの手伝ってくれたんだ」
「うわ、そんなに資料あるなら呼んでくれればよかったのに」
「気にするな。俺が好きでやったことだ」
櫻李は俺たちの会話など気にも止めず、横をすり抜けて俺のデスクの方へと歩を進める。
「ひぃ、ここでいい?」
「はい。そこで大丈夫です」
山のように積んだ資料をドンとデスクに置くと、長い脚を広げてこちらに戻ってきた。
「じゃあ、俺もう行くから」
「…………あ、はい。ありがとうございました」
櫻李は俺を一瞥すると、背を向けて生徒会室を出ていった。
「…………なんか、機嫌悪い?」
一樹は青い顔で閉まった扉を見つめる。
機嫌がすこぶる悪いときの櫻李はその場にいるだけで気温が下がる。
あまりの殺気じみた雰囲気に、普通の人なら震え上がるだろう。
「…みたいだな」
原因は分かってる。
…………何だか俺、よかれと思ってやることが全て裏目に出てるな。
分かっててやってる分、よりたちが悪いのかもしれない。
けれど、こうして自分のしてることが否定され続けるというのも……分かっていても辛いものがある。
俺はギュッと心臓を締め付けられる感覚に襲われた。
「つーかお前ら、何急に大人しくなってんだよ。さっきまで仕事もせずに話してたくせに。……………あ、輝がすげぇ仕事頑張ってきたからビビってんだろ!」
「……そうだよー!なんでそんなにやってんのさ。僕がやってないのが更に露呈しちゃうでしょ?」
芹が明るい声で答える。
一樹の目論見に乗るつもりだ。
「坂月先輩………あなたという人は。そんなに先の分までやる時間があるなら、気をきかせて少しは俺のデスクの掃除でもしてはどうです?」
柳橋くんがやれやれ、と首を振った。
「どうせまたとんでもなく汚れてるんだろ?誰がそんな汚物を掃除するか」
「俺の神聖なデスクを汚物扱いするとは…!無礼にも程がある!」
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