HAPPY BIRTHDAY

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ピピピ、ピピピ、ピピピ…… 「………ん、」 毎朝お馴染みの目覚まし時計がけたたましく鳴り響く。 うっすらと目を開けると、窓から差し込む日差しが眩しくて思わず目を閉じた。 何気ない朝。 目覚まし時計を止めて、枕元に置いてある携帯を取った。 着信も受信メールも一切無し。 バレンタインデーが終わって約1週間。 電波遮断装置を設置する理由がなくなってしまったので、仕方なしに解除された。 電波は復活し、生徒たちは普段通りネットワークを利用する。 当然、電話やメールだって問題なくできるようになった。 あいつからのストーカー紛いな電話やメールも復活……するかと思われた。 けれど。 電波遮断装置が解除されてから、あいつから連絡が来たことは一度もない。 来ないにこしたことはないが、あの男がそう簡単に俺を諦めるとも思えない。 嵐の前の静けさ、と言った方が正しいかもしれない。 ベッドから降りて、制服に着替える。 そういや今日…何日だっけ。 連日の忙しさでよく日にちを忘れる。 そんなことを考えながら部屋を出てリビングに向かった。 「………!?」 「よう」 リビングに出るなり、目に飛び込んできたのは。 悠々とソファーに腰かける会長だった。 「腹減ったな…。おい、朝食は?」 「何さも当たり前かのようにいるんですか」 「何言ってんだ。当たり前のことだからいるんだろ」 「意味分からん」 会長の奇行は今に始まったことではないが、本当に困ったもんだ。 「山田、俺は目玉焼きはケチャップ派だ」 ケチャップ派て。ちょっと意外ですワロ。 「残念、俺は醤油派なんです」 「ケチャップにしろ」 「よくぞ作ってもらう分際でそんな命令できますね…」 呆れて怒ることもできない。 俺が台所に立つと、テレビをつける音が聞こえてきた。 どうやらニュースを観ているらしい。 ホントに自由だな。 「会長、ご飯できましたよー」 「お、ケチャップかかってんじゃねぇか」 「王様のご要望にお応えしましたよ…」 2人で食卓についてご飯を食べる。 「……ところで会長、何で朝っぱらから俺の部屋に?」 何の理由もなく会長が俺の部屋に来るわけがない。 「おう、そうだ。山田に伝言があってな」 会長はナフキンで口を拭う。 何でそんなの持ってんだ…
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