HAPPY BIRTHDAY

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「……………」 「おーっす輝!」 教室にて。 登校して自分の席についた俺は、ボケーッと窓の外の景色を眺めていた。 そこに、聞きなれた友人の声。 「一樹か…おはよう」 「おう、おはよう。……輝、どうした?」 さすがというか、一樹は俺の異変にすぐさま気づいたようだ。 「えーと…会長が朝からゲロ甘だった」 「なにぃ!?」 さすがというか、一樹は俺の端的すぎる説明が何のことか分かったようだ。 「な…、何されたんだ輝!?」 そして必死の形相で俺の両肩を掴み、ゆっさゆっさと揺さぶってくる。 ちょ、目玉焼き出る。 「お、おち、つ、け」 「落ち着いていられるか…!何された!?」 頭がぐわんぐわんする。 泡を吹きかけた頃、ようやく自分が何をしているのか分かったらしい一樹は、慌てて手を離した。 「わ、悪い…!大丈夫か?」 「大丈夫じゃない……」 「うおおおお!え、エチケット袋!誰かエチケット袋を…!」 「うっ…気持ちわる………」 「ま、待て!話せばわかる!」 意味がわからん。 「うぷ…………おrrrrrr」 「ギャー!!!」 まぁ、どうなったかは皆さんのご想像で。 「………まぁ、朝から会長とそんなことがありまして」 「ちっくしょう…!会長め抜け駆けして………!!」 ざっくりと説明すると、一樹は悔しそうに拳をつくった。 「俺も輝の作った朝ご飯食いたい!」 「来るなよ?絶対に来るなよ?」 「ん?それはフリかい?」 「違う」 マジで来るな。 そんな俺の視線に、一樹は大いに傷ついたようだった。 「輝、おーっす」 「おう、累。おはよう」 ふあぁ、と眠そうに欠伸をしながら累がやって来た。 涙目になってるせいで破壊力抜群だ。 クラスの男子が数人、前屈みで教室を出て行った。本当にご馳走様でした。 「あん……?何だよお前ら、俺にガン飛ばして」 累が眉を寄せて残ったクラスメイトを睨みつける。 違うよ累きゅん。見惚れてるだけだよ。もうお鈍さんなんだから。 「ふひひ……朝からサービスだぜぇ………ぐふふ」 「お、おい一樹……?気持ち悪いぞ」 「その変態はほっとけ」 一樹の気持ちは分かるが、気持ち悪いのは事実だ。 「酷いよね……輝…………」 「うわ、泣きながら近寄るなよ。鼻水付くだろ」 「……………」
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