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階段の下で崩れ落ちる男に、ゴロツキの三人はいやらしい笑みを浮かべたままゆっくりと近づいていく。
体のいい金づるが、目の前に転がっているのだから当たり前なのかもしれない。
しかし、男の座り込んだ階段の上方を見上げたゴロツキの一人が一瞬、怪訝そうに表情を歪めた。
だがその表情はすぐに消え、今度は驚きと恐怖をその顔に浮かべた。
「お、おおい!」
言葉にならない声をあげ、ゴロツキは階段の上を指差す。
座り込んだ男もつられて、背後を振り仰いだ。
そこに在ったモノ。
それはまるで、一輪の薔薇。強烈な美しさと、過激な危うさを持ち合わせた美しい少女が佇んでいた。
その少女は、黒のレースの付いたミニスカート型のドレスで着飾り、その上から真っ赤なフード付きコートを頭に引っ掛ける形で羽織っている。
フードから覗く金色の髪は陽光を受けて輝いているようにも見えた。
さらにその奥に光る蒼い瞳には、攻撃的な色が見える。
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