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コツリと、これもコートと同様に真っ赤なハイヒールを鳴らしながら、少女は階段を降る。
一段、二段と、ゆっくりと。
それに合わせるように、ゴロツキ達は一歩ずつ後ろへと後ずさる。
一段降る音。
一歩下がる音。
だが、その途中で奇妙な音が混じっていることに、男は気がついた。
シャリッシャリッと、
硬い物同士がぶつかり合うような、無機質な音。
それは、どうやら少女の方からしているらしい。
少女が降るのに合わせ、音も大きくなっていく。
そして、少女が男の横を通り過ぎた時、偶然に走り抜けた風が、少女のコートを少しだけめくり上げた。
「ひっーー!?」
男は息を呑む。
偶然に見てしまった少女の中身。
コートに隠された背後。
そこにはーー
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