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「吸血鬼は今や一大勢力を誇ってる。お前のとこのような小さな街を支配するなんて、大層な理由がなきゃするわけねーのさ。お前、いったい何を隠してる?」
「そ、それは……」
言い淀むビクトールを傍に、レイヴンが口を挟む。
「子供ですよ」
「子供?」
「ええ、そうです。吸血鬼にとって、重要な娯楽の一つが『子供の血』です。不純物が混じらないまさに純血。しかし、その娯楽の供給源である『子供達』が突如として消失するという事件が、最近になって中央地区周辺で立て続けに起こっています。その発端となったのが、」
「アドリアーノって訳か」
ニヤリと、厭らしい笑みを浮かべるレム。
「子供消失事件と吸血鬼の進行。おやおや、こーれはピンチな香りがするねぇ、町長さんよお。しかも、だ」
パチリと指を鳴らし、必死で逸らそうとしていたビクトールの視線を自分に向けさせる。パワーバランスは一目瞭然だった。
今やこの空間を支配しているのは、紅色の少女。
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