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「いいね、いいよおっさん。あんたは狂ってる。けど、それこそが”本音”だ。わかった、受けるよこの依頼」
「だから、私は……え?」
ビクトールは、キョトンと目を見開いたまま停止した。どうやらいきなりの状況変化についてこれなかったらしい。
「だから、依頼を受けてやるって言ってんのさ。あんたの狂った理想を現実にする手伝いってやつだよ。で、具体的な依頼内容を聞こうか」
「え、いや、でも」
「なんだよ。受けなくてもいいのか?」
「い、いやいや。是非受けて貰わねばこ、困る!」
「なら、話を進めよーぜ。いっただろ、欲しいのは事象と対価って。まずは事象としての依頼内容は理解した。あとは対価さ。ここからはしょーがねえから、値引き交渉も受け付けるよ」
ニヤリと嗤い、レムはやっとその脚を机の下へと降ろし、ビクトールへと目線を合わす。ここに至ってようやく、二人が対等な立場となった事を表していた。
ビクトールはそれを受け、おずおずと話し始める。自らの街の問題と現状を。そして、そこに賭ける対価を。
こうして、依頼達成率99.9%のギルド「アヴァロン」に、新たな依頼が持ち込まれる事となった。
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