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世界政府の取り決める法規的処置を例外的に除かれた地域は、幾つか存在する。
その理由は様々で、政府直下の高度実験用指定地域であることや、人間による手を加えない自然保護地域などもそれに分類されている。
だが、ある一地域のみは、そうしたものとは質の違う類の理由で、法規的処置が取り除かれていた。
その地域の名は、エルドラド。
世界最大の大陸北半分を占める大国の北西部に位置するその地域は、元々は多種族主義を主張するギルド群によって形成されていた。
しかし、半世紀前に勃発した第二次種族間戦争の結果、ギルド間の結束が崩壊。戦争下の影響で、治安は急激に悪化していった。
多発する犯罪に歯止めが効かず、治安維持を任されていた幾つものギルドが、エルドラドから退去していくことになる。
戦争終結後、世界政府による治安回復策が実施されるもことごとく失敗。
王族交代による政策転換により、エルドラドはついに「超法規地域」という名のもとで世界から見放されることとなった。
世界公認の無法地帯。
そこには、あらゆる種族のあらゆる闇が流れ込む。
世界が見限り切り離した闇は、いつ爆発するかわからない巨大な爆弾となって今なお膨らみ続けている。
最悪の絶望と最低の希望をその内に抱いたまま。
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