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「そっか~、恋したことないのかぁ。恋っっていうのはだな。そうだな、異性のことが気になって気になって仕方なくって、なに考えても、その人のことしか考えられない、のかな?
ドキドキが止まんなくて、その人とのちょっとしたことで、顔が赤くなったり、照れたり。たぶん、そんな感じ」
「………ぇ、」
その話の流れだと私…この人のこと…
ぼっ、と顔が赤くなった。
「おっとぉ?その反応は心当たりがあると見えるなぁ?なんだよ、ちゃんといるんじゃねえか。好きな男」
「あ、いや、えと、違くて、私は別に…」
海月は照れたように目を逸らす。
そんな海月に雅騎は微笑む。
そんな顔にドキドキして、無駄に意識してしまう。
「海月も女の子だもんな。好きな男の一人や二人。いてもおかしくないだろ」
「そ、そんなに居ても良いもの、なの?」
「さあ?俺はあんま、気にしないけどな。あ、でも、俺は好きな女なら、どんな手を使っても手に入れたい」
真剣な眼差しで語るものだから、更に鼓動は早くなって、もっと雅騎と目を合わせれなくなる。
「あ、あの、雅騎さんは、いるの?好きな人」
「…俺は、もう恋はしないって決めたから」
少し儚げな笑顔を雅樹は浮かべた。
そんな表情にきゅん、としてしまう。
でも、これって早くも失恋?
少し、しゅん、としてしまう。
「あ、あの、雅騎さん」
「ん?」
「私、…えっと…その…聞いちゃ、いけないこと、だった?」
「あっはは、いいや。全然。別に気にしてなんかいねぇよ。いやぁ、海月は可愛いね。出会うなら、もっと早く出会いたかった」
「ぇ?それ、どういう」
「さてと。邪魔して悪かったな」
海月の声を遮るように雅騎は立ち上がった。立ち上がって、海月を立たせてくれる。
「今日、学校に迎えに来て…いいか?」
「あ、う、うん。で、でも…どうして?」
「本当は今から連れ去りたいくらいだ。ま、学生だし。連れて行きたい場所。あるから」
「わかった。いいよ、迎えに来ても。待ってる」
「お、おう」
雅騎は目を逸らして、海月から離れる。
海月はもう、一人でも立てるようになっていった。雅騎に微笑み、雅騎が学校から出ていくを見送った。
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