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あぁ、なんだろ。
まさに目の保養。
「……?」
ここ。
カジノ?へぇ。こんな場所にカジノなんてあったんだ。知らなかった。
男の人にまだ開店していないカジノに連れ込まれる。
中には誰もいなくて、海月は中にあるソファに下ろされた。そして、男の人の平手打ちが海月の頬を攻撃した。
ビリリ、とした痺れのある痛み。
感じたことのない痛み。
思わず涙目になる。
「なにす」
なにすんのよっ、と言おうとした。
けど、突如、男の人は海月を抱きしめた。
こんな意味不明な行動に訳が解らなくなる。
「な、なんなの」
「君、馬鹿だろ」
「はっ!?会っていきなりなんなのよっ」
口答えをする海月の手を男は足で踏む。
手からの激痛が走る。
「なんであんな場所にいた」
「それは…バイトへの近道で」
再び平手打ち。
「知らないのか。知らないなら教えてやる。そこの路地裏は欲求不満な男共の溜まり場だ。大抵の女はヤられる」
ゾクッとした恐怖を感じた。
踏まれたままの手の痛みを忘れてしまうくらいに。
「ああ、でも。アンタ、ヤリマンだっけか。なら関係ないな」
「うるさいっ!私、好きでそんなことしてるわけじゃないっ。なんでキモい男に抱かれないといけないわけっ!?気持ち悪いのよっ」
「……本心、か」
男は興味深そうな顔をして笑う。
海月はその笑顔の意味が解らなく、首を傾げる。
「まぁ、なんにせよ。あんな奴にあの反抗的な態度は逆効果だ。ヤられたいなら話は別だが」
「御忠告…ありがと」
「初めっから素直に言えばいいんだよ」
ニコ、と笑ってみせた男は紳士そのものの笑顔だった。
優しい笑顔。
「俺さ、今暇なんだよね。少し話そうよ」
「バイトあるんだけど」
「コンビニでしょ?問題ないよ。そこの人には既に話はつけてある。本日限りで藤村海月さんは辞めますってね」
「はぁ!?ちょ、なに勝手なことしてくれてんの!?それになんで私の名前」
「俺、そこの常連客。海月ちゃんはいっつも人の顔みないもんねぇ」
な、なんなの。この男。
「気持ち悪っ。え、なに?変態?うわぁ」
「あからさまなその態度。腹立つなぁ」
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