My heart is always yourside

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「ただいま~!」 「戻ったぜ~……」 大きく開け放たれた大扉から、紅玉宮に二人の人影が入ってくる。 一人は赤い瞳に青い髪の快活そうな少女で、もう一人は逆立てた赤髪に趣味の悪いバンダナを巻いた野武士面の男。 「あら、おかえりなさいルカ……って、それ、どうしたの?」 二人が部屋の中に入ってきたところに丁度居合わせた緑髪の少女、フィリアはルカの肩に担がれた物体に目を丸くする。 ルカの肩には、推定十メートルはあろうかという巨大な常緑樹が青々とした葉を茂らせたまま担がれていた。 「これ?モミの木って言うんだけど、ちょっとレットに手伝ってもらって22層の森まで取りに行ってたの」 「はぁ……?でもそんな大きい木、何に使うの?加工なら外でやったほうがいいんじゃ……」 「あはは、加工なんてしないよ。強いて言えば少し枝とかを整えるけど、そもそも私はそんな本格的な加工なんて出来ないし」 ルカがそう快活に笑うと、フィリアは訳が分からないという表情になり、隣で疲れた様子のレットも小さく肩を竦める。 「全く……遊びに来たらいきなり連れ出されて木を切るのを手伝えだもんよ……竜族は龍族には逆らえないってのを分かってやってるからタチが悪いよな」 「でもほら、荷物持ちはちゃんとやったし、レットにはちゃんとお礼もあるから」 「おかえりなさい、ルカさん」 「あ、ミカエル!ただいま!」 ぼやくレットにルカがそう言うと、騒ぎを聞きつけたのか長い金髪を揺らしながら大人びた碧眼の女性がルカを出迎える。 「わぁ……立派なモミの木ですね……」 「これなら大丈夫かな?」 「ええ、ちょっと装飾は大変そうですけど、十分だと思いますよ」 ミカエルはルカが担ぐ木を見ると、ルカとそんな会話を交わす。 「ミカエルはこれを何に使うのか知ってるの?」 「もちろん。そういえば、フィリアさん達にはクリスマスは馴染みが無いんでしたね。」 「クリスマス?」 フィリアはミカエルの言葉に首を傾げた。
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