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「へぇ~!ハヤト達が居た世界ではそんな文化があったんだ!」
「元々は宗教的なものですけどね。日本は割と宗教には寛大な国でしたし」
ミカエルに頼まれていた買い出しから戻ったアリシアやアメリア達と一緒にミカエルからクリスマスについての説明を受けたフィリアは感嘆したように呟く。
現在、紅玉宮の大広間では垂直に立てられたモミの木に美しい純白の龍鱗を持つ子龍や背中に薄い羽を背負った妖精が着々と装飾を進めている。
「それにしても変わった行事ですね……一人の人間が生まれた日を世界中で祝うなんて」
「そうですね……でも、大体の人はそこまで深く考えたりしませんよ。あくまでお祭り的な物として楽しめばいいんです」
【それに、この世界にはイエス様なんて居ないしね。気分の問題だよ気分の問題。」
装飾を終えたのか、龍の姿から人へと戻ったルカが身も蓋もないことを言うと、ミカエルと彩は苦笑いを浮かべる。
「そういえば、子供達にプレゼントを贈ったりパーティーをするんだったか?私達は何も準備出来ていないが……ミア達子供達はどうするんだ?」
「そうですね……パーティーの準備は今進めてますけど、プレゼントの用意がまだ出来てませんね。」
「今は皆カレンさんの所に行ってますし、今のうちに用意出来るものはしておいた方が良さそうですね。何かあの子達が欲しがるようなものが分かるといいんですけど……」
「うーん……でもあの子達も全然我儘らしい我儘言わないし……もっと我儘を言ってもいいのにね」
屋敷の子供達に想いを馳せ、ヒナは小さく溜息を吐く。
この館に住んでいるのは大半が表向きは学生。
それに気を遣っているのか、ミアやマオ達は我儘らしい我儘を言ったことはない。
「……だけどむしろこういう時こそチャンス。あの子達に直接聞けばいい」
「でも素直に答えてくれますかね?」
「問題ない。まず最初にサンタクロースの存在を子供達に教えて、欲しいものを紙か何かに書いてもらって夜枕元にでも置いておいて貰えれば遠慮一切無しの欲しいものが知れる」
「あ~……その手があったね。でもプレゼントの用意間に合うかなぁ……?」
「そうですね……ミアちゃん達が普段寝付くのは大体九時過ぎですから、日付が変わるまで三時間くらいはありますしみんなで協力すればなんとか……」
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