1、転校生と私

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*** 入学式が終わり、もうすぐ夏休みに突入間近な学校は浮き足だっていた。 最初こそよそよそしかった教室内も大分、落ち着いてきた。 ホームルーム開始のチャイムがなった。 バラバラとグループを作っていた生徒たちが席に座り出す。 ガラッと教室のドアがあき、神経質そうな頭の薄い中年教師が入ってきた。 このクラスの担任でかれこれこの学校に十年はいる古株の教師だ。 担任は忙しそうに前髪を気にしながら口を開いた。 「……えぇー、今日は転校生を紹介します。」 ザワッと教師内が騒がしくなった。 一人の活発そうな男子生徒が声をあげる。 「女子っすかぁーっ??」 「いえ…、男子ですよ。」 一気に半数以上の生徒が落胆の声をあげた。 いっこうに止みそうにない騒ぎに担任は教室の外に声をかける。 「入ってきなさい。」 カラカラッとドアが開く。 教室は一瞬にして静まり返った。 ドアが開き教室の中に入ってきた、男子生徒。 艶やかな黒髪を適度に伸ばし、無造作に後ろに流している。 切れ長な瞳は光のかげんか、青みがかって見えた。 ゆうに170はありそうな背丈のわりにはひょろりとしているし、透けるほど白い肌は病的に見える。が、綺麗な顔立ちをしていた。 転校生は担任の横に立つと興味なさげに教室を見渡す。 そんな姿に一部の女子生徒が沸き立つ。 転校生は真っ直ぐ此方を向いた。 そう、“私を見るように”……、。 転校生は私を真っ直ぐ見ると薄く笑った。 得体も知れないモノを見てしまったように背筋がゾッとした。 次の瞬間には転校生は私から視線をずらしていた。 偶然だったのか? この時私には男子生徒が不気味な存在に見えた。
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