†朔†

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見た目は大人しく可憐な少女ような少年の服装をしたロアの余りの身軽さに驚き、呆然と大窓の上に居るロアを見上げる神兵達。 「…えっと……?」 『あぁ、そっか。皆は翼があるから……』 何故、神兵達がそんなにも驚いた様子で自分を見上げているのか、ロアは咄嗟には理解できず。 直後に力が使えず、翼が具現できない代わりに身軽な自分と、翼が具現できる者達との違いに気付き、 『驚かせたのかな?』 「ごめんなさい…」 花が咲き綻ぶような笑顔で謝罪を残して、神兵達とは反対の窓の向こう側、建物の外へと飛び降りた。 ―が、 振り向き様に飛び降りた為に気付かなかった、ロアが着地点と目測を着けた場所にある何者かの影。 「えッ……」 『ッ!?!?しまっ……!!』 「うわッ!!…どけッ!!」 気付いた瞬間には蒼褪め、驚きと共に叫ぶロアの警告。 「「ッ!!!!」」 息を呑む相手とロアの二人分の気配。 相手と衝突する寸前にロアは何とか上体を前へ倒し、相手の肩に両手を着くとそこを支点に前転しながら相手の後方へと着地し、衝突を避ける事に成功した。 それでも、 『しまったッ!!怪我をさせたかッ!?』 「悪いッ!!怪我は無いかッ!?」 辛うじて衝突は避けたが、相手に怪我を負わせてしまったかも知れない不安にロアが慌てて立ち上がり、相手の方を振り返ると、 「え?……あれ……?」 そこにはロアが避けた筈の相手の姿はなく。 「どうして……?ッ…!?……イ、タ……」 周囲を見渡しても誰も居ない状況に疑問を抱えたまま、着地する際に捻った足首の痛みに思わず、その場に座り込んでしまうと、 「ロア様」 「へ?」 「大丈夫ですか?」 「えぇ……と…?」 不意にロアの背後に顕れた、長身の…、 「お前は……、」 ロアが神兵達に追い掛けられている時に見掛けた、夜を思わせる深藍色の髪と瞳をした、 「クロア……?」 「はい」 何故か知っていた青年の名前をロアが口にすると、優しく涼やか微笑みを浮かべるクロア。 「転んでしまわれたのですか?」 「あ…」 いつの間にか成人後の青年の姿に成ったロアの手をクロアが取り、どうしてか脚の感覚が消え立ち上がれなくなっていたロアはクロアの腕にそっと抱き上げられていた。
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