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そして、
「答えを先伸ばしにするのは良くない事だと分かっているが、警備面や大会までの周囲の状況次第では、出場しようかと思う」
「ッ!?!?」
クロアが大会出場への前向きな考えを告げると、驚きと共に明るさがロアの表情に広がり、
「良いのか?」
「恋人として、俺の活躍が見たいんだろう?」
「あぁ」
クロアが無理をしていないか不安になるロアの確認に、クロアは清め終わったロアの身体に夜着を着せ直しながら、
「俺も、」
「?」
「恋人として、お前に自分の活躍を見せたい」
まるで、恋人の我が儘を叶えるような甘い口調で、ロアの想いを汲み取ってくれた。
「勿論、状況によっては出場しない可能性もある。だから…、」
「分かっている」
武道大会などの大きな政があると、準備期間等の騒ぎに紛れ、不穏な事件が増える。
特に、次期聖主でもあるロアの周囲は、どれだけ厳重に警戒しても危険が多く。大会当日の警備体制や犯罪組織の動向によっては叶えられない可能性があるけれど…、
ロアの望みを可能な限り叶えようとしてくれるクロアの思いに、ロアの心が小さく揺れて、踊り出す。
心の奥底から沸き起こる、
『嬉しい』
素直な喜びの感動。
衝動の赴くままにロアはクロアへと口付け、
「ん……」
柔らかく絡まる、二人の吐息。
ふっくらとしたロアの唇が優しく触れる、淡く、切ない口付けをクロアに与えると、
「私はお前のその気持ちだけで十分だ」
ロアは華やかに美しく、恋に満ちた満面の笑顔で笑った。
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