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「あ、あれ?」
「ナニヤッテンノ。
どいて」
悪戦苦闘している私の手元に呆れ顔の先生が、スッと隣に立つ。
「ここの鍵、ちょっとコツがあるんだよ」
そう言いながら大きな体を屈めて、
ガタガタと数回動かすと解錠した。
先に中へと入った先生の後に続く。
中は普段使われてないせいでムンッと息が詰まりそうなくらい暑く、湿気ていた。
「死にそうな熱気だな、オイ」
先生が苦笑いしながら窓を開ける。
「そこ、座って」
「はい」
先生と向かい合う形で座る。
「で、だ」
両肘をついて、組んだ手のひらを口元に運びながら先生が私を見遣る。
その瞳がいつもとは違い、堅いことで緊張感が背中を走る。
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