第7話

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振り向かなくても、分かる声の持ち主に 心拍数は上がるばかり。 「あ、冴島どこ行ってたのー?」 「準備室。陰陽師談義、まだ続くなら 羽村借りていい?」 私の横を通り過ぎるとき、先生が、頭をポンと叩いて長谷川先生に近寄る。 「えー、陰陽師は気になるけど 羽村と何話すか、もーっと気になるんだけどなぁ~」 ヘラッと顔を柔軟に崩しながらも 目が全く笑っていない長谷川先生に一種の恐怖を感じる。 「ハセ………左袖のボタン、取れかかってるヨ」 「うそっ!これおろしたてなのに!!」 慌ててボタンを確かめる長谷川先生。 「あら大変。 私がつけ直しましょうか?陰陽師の話しながら。 冴島先生、どうぞ郁ちゃんとごゆっくり」 采女は意味ありげににっこり微笑むと、 立ち上がろうとする長谷川先生の腕を掴んだ。
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