第7話

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「その時、何か変わった様子や悩んでたとかなかった?」 瞬時に、リカにお金を貸してくれと言われたことを思い出す。 「お金……貸して欲しいって……」 「お金?いくら」 「5万円。1万円でもいいからって」 「………」 腕を組んで渋い顔をしていた先生が何か思案しているように、一点を見つめている。 「佐々木………彼氏とどーなの」 「うまくいってたはずです。 直前まで一緒だったみたいだし」 「それ誰情報?」 じ、と鋭い視線が刺さる。 後ろめたいことは何もないけれど、 その強さに、答えることをためらってしまう。 だけど、そんな私に先生は。 「あぁ、ユーヤ?」 吐き捨てるように低いトーンで 言い当てる。 ………なんでもお見通し、ってわけか。 叱られた気分で小さく頷く。
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