第7話

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「………フーン」 「……………」 訳もなく沈黙が訪れた指導室に、窓の外から聞こえる運動部の声が軽やかに響く。 「夏が…………始まるな」 ポツリ、呟いた先生は、頬杖をつきながら窓の外をぼんやりと眺めていた。 それは最初から私の返事なんて期待していない、静かなもので。 なぜか泣きそうになった。 「羽村………」 「はい」 「ひとりで………動くなよ」 ゆっくりと絡まる視線。 「佐々木のご両親は、捜索願を警察に出してる。 自分の意志にしろ、違う何かによってにしろ………。 高校生の女の子が、大人の力を借り ずに1週間以上一人で生活できるはずないんだよ。 ………それがいい大人でも、悪い大人でも 必ず誰かがいるはずなんだ」 言葉を丁寧に選びながら 私から目をそらさない先生。
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