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先生の困ったような、弱々しい声に
視線を動かすと、先生の瞳にぶつかる。
「俺………先生だから」
あの日、私の気持ちを遮った言葉が
小さな指導室に小さく響く。
「そ……そんなに何度も言われなくても、知ってますよーだ」
顔中に力を入れて、思いっきりべーっと舌を出す。
そうでもしないと、私の緩い涙腺は
もう崩壊寸前だった。
「ソーデスカ」
「ソーデスヨッ」
「ふはっ」
乾いた笑みを一つ転がし、
絡んでいた視線をあっけなく手放して立ち上がる先生。
「………アンタが泣いてても、俺はそばにいてやれない」
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