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采女は、できる限りのことはしたらしいけれどリカは頑なだった。
「ごめんね、私もリカと何度も話してるんだけど……」
「ううん。悪いの私だから」
「でも………」
「もー、郁ちゃんのせいじゃないんだから
そんな顔しないで。
少し時間がかかるかもしれないけど、
仲直りできるチャンス待つことにしたの」
ニッコリ笑って、ノートを差し出してきたリカ。
「これ、ありがとう。
郁ちゃん、字がきれいだから見やすかったわ」
「そんなことないけど………」
采女の心中を思うと、その笑顔が痛々しくて唇を噛んだ。
ーーーーー今思えば、リカと普通に話せたのは、私もこの日が最後だったかもしれない。
そしてこのあと、大きなうねりに巻き込まれることになるなんて想像もしてなかった。
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