第7話

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慌ててゴシゴシと両目をこする。 「………盗み聞きですか」 長谷川先生にいつものチャラッとした笑顔はなく、眉間にシワを寄せ渋い表情を崩そうとしなかった。 「羽村………」 「………」 「俺も、冴島はオニアクマだと思うわ」 そう言って、困ったような同情したような。 どこか哀しく笑って、私の頭をぐしゃぐしゃとかき回した。 その手は、先生と 大きも 温かさも 強さも 優しさも…………。 全部全部違って、余計に泣けてくる。 こんなにも、先生だらけだ。 こんなにも、先生しか見えないのに………。 小さく頭を下げて、長谷川先生に背を向ける。 泣き顔を誰にも見られないように顔俯いたまま、走ったーーー。
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