縁側で日本茶と、時々子猫。

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『わしは、昔ある人に遺産をいただいたんだ。』 じいちゃんは縁側で遠くを見ながら子猫を撫でてポツリと言った。 暖かい日差しがポカポカと眠気を誘う午後三時。 日頃あまり口を開かないじいちゃんが急に言うもんだから あぁ、ついにぼけ始めたか…なんて思った。 じいちゃんが本当に遺産をもらってるならこんな平凡な暮らしはしてないと思うんだけど… 俺はじいちゃんに言った。 『じいちゃん、さっきの昼ごはん何食べた?』 ひざでくつろぐ子猫をつつきながら そう聞くとじいちゃんの目がキッと俺を睨む。 『わしはまだボケとらん。さっきは玄米と汁物じゃ。』 どうやら俺の思い違いらしい。 やれやれという顔つきでじいちゃんは話し始める。 膝にいた子猫はピョンと庭に降りると、何処かへ駆けていった。 『わしの遺産についてすこしお前に話そう。』
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