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遺跡の壁をなぞりつつ呟いた台詞はまさに科学者らしい発言ではあるが、いかんせん服装のせいでどうも優秀な科学者には見えないには悲しい話である
遺跡を調べる博士の足元には2体の緑色の液状の生物と何体もの溶かすくんが何故か忙しなく蠢く
どうやら体の中に遺跡に使われている石を取り込み、体の中に保存しているようだ
「あー、治すくんはともかく溶けるくん達は採取したサンプル溶かさないでくださいねー
こんなことならコロリくん連れてくればよかったでしょうかねー」
などと言いながら相変わらず遺跡を調査する博士であったが、なにか異変を感じたのだろう
ぴくりと眉を動かし、違和感を感じた方向へと足をすすめる
「こんな遺跡で水の流れを感じるなんて
誰かがお決まりのトラップにでもかかったんですかね?
全くしょうがないですね
溶かすくん達、ここの壁を溶かしてください」
そう言うと黄色い生物たちは一斉に壁に集まり、自分たちの体を構成する強酸使い、壁をみるみるうちにとかし始めた
すると、ジワリと水が博士たちのいる道へと侵入してくる
このまま溶かし続ければ、彼女たちもこの大量の水に巻き込まれ流されるだろう
しかし、博士は普通の人間ではない
意識を水に集中すると、自分たちの方に流れてこようとする水を己の魔力でぴたりと止てみせた
まるでそこに透明な壁でもあるかのように
そして水の中に感じた生物の気配を便りに、空気でなにかしらの生き物たちを包むと、水の流れを操り、自分たちのいる道の方へとそれらを移動させ救出してみせた
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