序章

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「キャアアアア!!!」 彼方此方から叫び声が聞こえる。 「見ちゃだめ…見ちゃだめ…!!」 母さんに目隠しされながら抱き締められてても周りが今どんな状況かすぐに理解してしまう。 炎の燃え上がる音,村の皆の叫び声,甲高い男達の笑い声,そして…何か切り裂く音。 「母さん,早くその子を舟へ!!」 「貴方!!…わかったわ!!!」 父さんの声が聞こえたかと思うと,いきなり体が宙に浮いた。 「ハッ…ハッ…待ってて…もう少しだから…!!」 走っているのか,母さんが荒い息をしながら俺に言った。 「さあ,早くその子を!!」 「えぇ…,……ッ。」 すると俺は母さんの腕から離れ何かに座らされた。すると母さんの手が離れ視界が明るくなり今自分の座っている場所が木で作られた小さな小舟だということがわかった。 そして目の前には父さんと母さんの姿…。
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