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「時間ねーのに、マジかよ……」
だけどエレベーターを停止させてしまったキッカケはきっと私。
謝るために、俯いていた顔をあげた。
怒られてもいいから、謝らなくちゃ。
「あの……すみません!私がボタンすごい勢いで連打したのが原因だと思うんです!仕事中なのに、巻き込んでしまって本当にすみません!」
精一杯の気持ちで謝った。
目の前の彼は目を見開いて、驚いたような表情を浮かべていた。
わ、この人、背高い……。
「あの……」
流れる沈黙に耐えられずに何か話しかけようとしたとき。
急に目の前が真っ暗になった。
「停電……?」
何も見えない。
怖い。
気づくと足が震えていた。
私は小さい頃から暗くて狭いところが苦手。
息苦しくなりそうだった。
「俺の腕、掴んでていいよ」
そう言って、彼は私の隣に寄り添ってくれた。
どうしようもなく怖かった私は、その言葉に甘えて彼の右腕を掴む。
いつの間にか、足の震えは止まっていた。
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