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「……今、なんて?」
「だから、異動。システム部は今月で終わり!伊咲は来月から受付嬢ね。とりあえず明日から研修だから」
「受付って、そんなぁ……」
さらっと朝から部長に伝えられた部署異動。
異動だから断ることなんて出来ないけれど、絶対にムリだ。
大好きなパソコンを1日中いじりながらシステムを作る部署は、私に凄く合っていたのに。
春。
私の1番好きな季節。
自分の誕生日もあるし、新しく何かがスタートするような気がして、ワクワクする。
だけど今、全然ワクワクしない。
入社してから3年、社内でもあまり人と接しない特殊なこの部署に染まり込んでしまった私。
そんな私が会社の受付だなんて、務まるのだろうか。
「いいじゃないか、受付。伊咲が仲良い雪ちゃんもいるんだし」
「そうですけど……」
雪ちゃんは、私と同期入社の親友。
もの凄く美人で、入社したての頃は専務の秘書に配属されたけれど、専務と関係を持ってしまって昨年受付に異動になった。
ちなみに専務は40代のダンディーなおじさま。
雪ちゃんは、年上好きなのです。
でもその事実は、本当に役職が上の人と親友の私しか知らないことだけど……。
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