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石段を昇りきると、そこには沢山の屋台が並んでいた。
狛犬の横には大きな松明が燃え盛り、奥の舞台では薪能が行われている。
この神社、こんなに広かったっけ?
小さな私は目を丸くしたまま、ちょこちょこと進み、近くの屋台を覗き込んだ。
「よう、嬢ちゃん。やってくかい?」
そう言って話し掛けてきたのは赤鬼だった。
「わーっ」と叫びそうになって、慌てて口を塞ぐ。
「だい……じょ…ぶです」
それだけ言って一目散に屋台から逃げ出した。
よく見れば、客は人のようだが屋台を開いて居るのは異様な姿のモノばかり。
急いで戻ろうとしたが、元来た道が見当たらない。
「……どうしよう」
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