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「おーい!みんなも上がって来いよ。すっげー涼しい」
彼が石段の中腹辺りからそう叫んでいる。
「どうする?」
「行く?」
彼と彼女はそう言うと、ゆっくりと石段を昇り始めた。
彼らの背中を見つめながら、私もまた石段を昇り始める。
この上には、何があるのか?
そんなの答えは決まってる。
「只の神社よね」
「違うよ」
一瞬にして木の葉が舞った。
気が付けば友人達の姿は無く、私は一人、石段の一番上に立っていた。
「ごめん。ちょっと術が効き過ぎたみたい。もう少し早く思い出すはずだったのに」
私の前には、綺麗な金色の髪の男性が立っていた。
「……狐白(コハク)?」
「そう。ボクは狐白、キミは美月。迎えに来たよ」
そう言って差し出された手に、私はそっと自分の手を重ねた。
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