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ホームルームが始まって20分の遅刻した頃に誠は自身が通う私立武宮高校にたどり着いた。校門の前には誠のような遅刻者を叱るために生徒指導の先生が立っていた。
「早川、初めての遅刻の気分はどうだ? 言い訳くらいなら聞いてやろう」
「日課の神社にお参りにいって学校に向かおうとしたら、石造りの階段から不覚にも転がり落ちて、その痛みで登校のペースを上げることができず遅刻しました」
今朝起きたことをありのまま話す。冗談かと思った先生の視線は俺を舐め回すように体のあちこちを見る。正直気持ち悪い。砂まみれのブレザー、血がついたカッターから何かしらあったと悟ったのか先生は、
「お前、いじめとか受けてないか?」
「大丈夫ですよ」
すると後ろから
「せんせー、おはよーございまーす」
と制服を着崩した不良生徒4、5人のグループが重役出勤してきた。
「早川くん? 真面目だけが取り柄の早川くんが遅刻なんて自分の存在意義否定してない?」
そういって校内へ向かっていく。
「お前ほんとに……」
「大丈夫ですから」
食いぎみに否定する。さすがに必死すぎたかどうにも納得していないようだ。
「とりあえず……保健室にいって診てもらってから教室に向かいなさい」
随分と気を遣わせてしまったか? とはいえその提案はこちらとしても都合がいいので保健室へ足を引きずらせて行くことにした。
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