始末屋の面子は始末されたほうがいい面子

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「・・・・・・まぁわかってたけど。サイズもピッタリだなぁ」 着慣れた服だった為に特に苦もなく着る事ができ、洗面器のやや上に掛けてある鏡に出来るだけ姿が写るように距離を空けて見る。 モノトーンの迷彩はバックとかハンカチで見かけるけど、こうしたちゃんとした形で見るのは初めてだ。迷彩ってのは本来草むらや森林の中で敵から見つかりにくくなるようになってるものだが、この迷彩服は夜とか明かりが無い時にしか役立たないな。 「まぁいいか動きやすいし。流石にこの格好だとスリッパは似合わんな、さっさとブーツに履き替え・・・・・・ん?」 コンバットブーツを持ち上げた瞬間その重さに眉をひそめた。重い、といっても自衛隊時代に履いていた戦闘靴2型という靴に比べればって話だけど・・・靴にしては重すぎる。もはや靴ですら軽量化される時代になのに。 爪先部分を触ると、どうも安全靴のように鋼板か強化プラスチックが入っているらしく硬い。そして何気なく裏返して靴底を見ると、一瞬言葉を失った。 この靴ナイフが仕込まれてるぞ。よくみると爪先側と踵側の前後にナイフが突出するような隙間があるし、それを証拠に裏面には爪先、踵と力を入れて捻ると回るような仕掛けスイッチがつけてある。 「・・・・・・俺、一体何をさせられるんだろ」 一抹の不安を覚えながらせっせと靴紐を解き履き替えていく。 「なんだ。似合ってるじゃないか」 先程のメイドさんが部屋に戻ってきて俺を見た感想は中々と好評だった。用意したのが自分だからか不備が無いかを探すように前と後と回って確認し、肩に担いでるタクティカルショットガンを肩叩きのようにトントンと揺らしながら満足したように笑う。 「その服はちょいと特殊でね。超圧縮アラミド繊維とケブラーで出来ているちょいとした防弾服だ。どこぞの国じゃ100万もする防弾性能があるポロシャツが売ってるらしいが、それの比じゃないくらい性能は高いぜ」 「はぁ」 「靴は気付いたかもしれないが仕込みナイフ付きのコンバットブーツ。モデルはアメリカのSWATが使用してるもんだ。見た目は既存のブーツだが防水性や揮発性が高いから街でも沼地でも使える便利物だ」 「成る程」 「服と靴の説明はこんなもんだが・・・他に質問あるか?」 「俺は何処の激戦区に飛ばされるんですかね?」 性能良すぎて逆に怖いです。
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