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「さて、ココからは私が説明しよう。先に言っておくね・・・・・・君は既に死んでるから」
「・・・・・・ん?」
「そしてココは病室でもなく保健室でもなく研究室だ」
「いや。それより今なんて」
「因みにこの白衣は気分で着てるから毎日着てる訳じゃないよ?」
「アンタの気分より俺の質問に答えてくれ」
「質問する時は挙手をしたまえ」
「急にえらそうに!?挙げるから説明を!」
「質問は最後にしてね?」
「挙手した意味は!?」
「だからね・・・・・・死んでるんだよ君は」
コントじみた会話の最後。男は少し冷静な声でそう告げた。さっきの会話で疲れたからか、それとも緊張からなのか額から汗が出てきて心臓の鼓動が早まる。
「それじゃ。俺は何でいきてるんだ?」
「ふむ。私達も完全には理解してないんだけどね・・・近い存在で言えばゾンビかな?」
ゾンビ。よく映画や漫画で出てくる歩く屍のアンデットモンスターだ。出てくる作品によって設定は異なるが、基本的には腐った体で動くもの全てを喰らうっていく化け物。そんなファンタジーな存在に俺はなっているらしい。
「・・・・・・あの。なんで俺がそのゾンビなんかに?」
「死者が蘇る。一見すればファンタジーな存在だが・・・実はそうでもないんだ。勿論そんな現象が頻繁にあるわけでも無いんだけど・・・・・・公にされてない分を含めれば、十分に現実的な話なんだ」
カルテに書き込みを入れながら男は視線をカルテから睦に移し。
「世界では実に不思議な現象が数多くある。特に人体にまつわる不思議はそう少なくない。メジャーな所だとエスパーの超能力だとか、幽体離脱、人体発火。その中でも比較的事例は少なものの確かに起きている現象がある」
「それがゾンビ化・・・というより蘇り?」
「正確には生き返った痕跡があるって事かな。棺桶の内側に爪で引っかいたような跡があったり、納棺した跡に明らかに動いたような体勢であったりと様々だ。つまり、君はそれらの現象の成功者って事になるね・・・・・・最も、君の場合は非常に稀だけど」
「稀?」
そう。っと相槌を打つと、男は白衣のポケットからスマホを取り出して操作し始める。
「蘇りに成功した人にはいくつか特典がつくんだ。コレについては残念だけど解明できてないね。その特典の中でも一番重要なのが・・・いわゆる特殊能力だ」
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