これが俺のゾンビアタック

いわゆるゾンビって奴ですね解りたくないです

ココに来て急にファンタジーな事を言い出したなこの人。アレかな。患ったままなのかな。右手とか目とかが定期的に疼いたり居もしない敵に備えて出もしない魔法を練習してるんだろうか。

俺がそんな残念な物を見るような眼で残念な人の日常を想像してると、男はそれに気付いたのか苦笑する。

「急にこんな話されたらそりゃそういう顔になるよね。でも事実なんだよ。現に君の傷が跡形も無く消えてるのはそのお陰だしね」

まさか最初の疑問がこんなファンタジックな理由で解消されるとは思わなかった。しかし、言われなくても現代医学で傷口を完全になくすのは困難だろう。どれくらい寝ていたのかは知らないが、腕の関節を軽く動かしてみたりしてそこまで体は鈍ってる訳ではないようで、少なくとも一週間も経っていない･･･流石にこの短期間では抜糸も難しいだろう。

「証拠映像って訳でもないけど。まぁ信じて貰えるであろう材料にはなるかな」

そういって男がスマホを俺に渡して画面を見せてくる。どうやら動画らしく、その画面には今現在俺が寝ているベットで俺が寝ている姿だった。

「これは君がココに運ばれた時に取った映像でね。少し変った現象が見受けられたから確認とデータを残すために撮ってるんだよ。変なことに使わないから安心してね？」

何を根拠に信用すればいいのかわからないが、今はそんなことより映像に集中しようと聞き流す程度にして画面の寝ている自分を見る。何これシュール。

再生から2分経ったが。画面は相変わらず俺が寝ているが、ココに来て初めて動きがあった。白衣を着た人物･･･おそらくこの男だと思われる人物がベットの脇に立ち、今の様にカルテにペンを走らせている。今思ったがこれ無音だ。

暫くカルテを書いていた男がカルテを画面外に置くと、今度はカーテンの向こうから何かを取り出す。

「･･････え」

鉈。男が次に取り出したのは鉈だった。何故に鉈？なぜ鉈がそこにあんだよ？なに？足音が一個余計に聞こえるの？ケタケタ笑いながら振り回すの？

そんな疑問など動画には無意味で、画面内の男はその鉈を振り上げ･･････思い切り寝てる俺に振り下ろした。