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「ちょーーーーーーーーー!!」
スマホを膝に落として俺は隣で座っている男の胸倉を掴みガクガクと揺らす。
「オメェ何してんだよオラ!通り魔に刺された以上にオーバーキルだろうがぁ!!」
「落ち着いて落ち着いて。脳がシェイクせれて気持ち悪くなってきたから。胃からシェイクされた物が出てきちゃうから」
何を悠長な事をっと思いスマホに視線を戻す。と、そこには血だらけの俺でも血塗れた男でもない。
「・・・・・・燃えてるのか?」
画面の俺は鉈が振り下ろされた場所から傷口を修復するがの如く青白い炎が噴出していた。まるで炎でできた人型に鉈を振り下ろしたような現象だ。
「これは君の能力というより副作用だね。君は意識が無い状態だと無敵なんだよ。それこそ火に向かって銃を撃ったり剣を振ったりするようにね」
実際に画面の俺は寝ているし、先程から男は何度も鉈を振り下ろしたりハンマーで叩いたりと斬撃打撃の嵐・・・ってやりすぎだろうが。それでも俺は起きることも無く武器に攻撃された所を炎上させている。能力が備わったってのは判ったが・・・
「なんで炎?」
「さぁ?でも君の能力を見るからに差し詰め不死鳥・フェニックスから来てるんじゃないかな?」
「フェニックス?」
「そう。君のこの副作用をもたらしてる能力は『三魂戻り』。三回まで君は生き返れるし傷や病気も治るし、さっきも言った様に意識が無い状態は不死身なんだ。因みにもう一つ君には能力があるよ」
まさかの二個持ち。若干頭が追いついてないがそんな事関係ないと言わんばかりに男は一旦席を立ち、部屋の置くから何かを持ってくる。
「ダンゴムシ?」
男が持ってきたのはダンゴムシだった。丸まっているが大きさも色もダンゴムシに違いないだろう。
男はそれを俺に渡す仕草をしたので、俺は反射的に受け取る。うん。ダンゴムシだ。
「それ潰してみて?」
「お前は何を言ってるんだ?」
いきなり虫を潰せとか何を言い出すんだ。出しかに生きてきた人生の中で虫を潰してきた回数は数知れないだろうが、潰そうと思って潰すのは気がひける。
「大丈夫。それ本物っぽいけど偽物だから。あくまで君の能力を証明するためにだからね。虫とは言え無下にはしないよ。一寸の虫にも五分の魂ってね」
寝てる俺にあそこまでの諸行しでかした男から出た台詞とは思えないし信用できない。
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