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◇
そのうち私は座っているのが辛くなる。朦朧としてしまい、
床に這ってしまうのでした。
横になって無意識に膝小僧を抱きかかえ、ハッとして体を
伸ばす。
だって・・丸まるお尻の側に回られたら・・そうでしょう。
「悲しいなぁ・・」
そんなとき、そんな声が横たわるお尻の側から聞こえてきます。
私はハッと体を起こしてそちらを見る。
そうするとまた、お尻の側から声がする。
もうダメです、どっちを向いても恥ずかしくなる方へ眸が回り
込んでいく。
私は床に、よよと崩れ、振り向くとお尻の高さの少し上に節穴
小僧の眸があった。
でもね・・小僧さんは、あの書き付けにあったように、ほんとに
可愛い目をしている。
「ねえ女の子」
「は、はい・・」
女の子って・・どう見ても子供の目に女の子と言われると妙な
感じがするのです。三十路の歳なのにって思うのですよ。
「ねえってば」
「う、うん?」
「女の子は何ちゃん?」
「麻里です」
「マリちゃんか・・可愛いねぇ・・でもマリちゃん、どうして
そんなに目を怖がるの?」
「・・」
「自信がないんだね。弱いんだね。はははっ、悲しいね」
「・・ぅ・・ぅぅぅ」
どうしてでしょうね・・涙がぱっと溢れてきます。小僧さんの
言葉が女心を射抜くのです。
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