第1話

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 ◇  そのうち私は座っているのが辛くなる。朦朧としてしまい、 床に這ってしまうのでした。  横になって無意識に膝小僧を抱きかかえ、ハッとして体を 伸ばす。  だって・・丸まるお尻の側に回られたら・・そうでしょう。 「悲しいなぁ・・」   そんなとき、そんな声が横たわるお尻の側から聞こえてきます。 私はハッと体を起こしてそちらを見る。  そうするとまた、お尻の側から声がする。  もうダメです、どっちを向いても恥ずかしくなる方へ眸が回り 込んでいく。  私は床に、よよと崩れ、振り向くとお尻の高さの少し上に節穴 小僧の眸があった。  でもね・・小僧さんは、あの書き付けにあったように、ほんとに 可愛い目をしている。 「ねえ女の子」 「は、はい・・」   女の子って・・どう見ても子供の目に女の子と言われると妙な 感じがするのです。三十路の歳なのにって思うのですよ。 「ねえってば」 「う、うん?」 「女の子は何ちゃん?」 「麻里です」 「マリちゃんか・・可愛いねぇ・・でもマリちゃん、どうして そんなに目を怖がるの?」 「・・」 「自信がないんだね。弱いんだね。はははっ、悲しいね」 「・・ぅ・・ぅぅぅ」  どうしてでしょうね・・涙がぱっと溢れてきます。小僧さんの 言葉が女心を射抜くのです。
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