第1話

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「泣いちゃった・・ふふふ、可愛いね。でも、可愛い可愛いマリ ちゃんなのに、なんで泣く?」 「ぅぅ・・ぅぅぅーっ」  どうしようもない孤独です。郷里を離れ、ごくわずかの人妻時代 を除いて、ほとんど独りで生きてきた。  作家になりたい夢もあり、だからこの仕事を選んで頑張ってきた つもり。  でも、この部屋に独りでいると、何のためにと考える。  誘ってくれる人はいる・・なのに勇気がないみたい。  ダメになった結婚を考えて、ひどく臆病になっている。  仕事よ仕事、旦那なんて邪魔なだけ。  そう思ってきたけれど・・孤独につぶされてしまいそう。  そうです、そんな状態だったとき節穴小僧を知ったのです。  だから私はワラにもすがる想いで飛びついてしまったの。  小僧さんが言いました。 「目が怖いのは」 「う、うん?」 「目がないからさ。僕には体はないけれど目だけはあるよ。怖がって 恥ずかしがっているけれど、震えているのは怖さじゃないよね。見ら れて見られて、感じて感じて震えてる。避けても避けても目が来る から、心が女になっている。覚悟なんてできてるはずだよ。マリちゃ んは結界の中にはいられない。きっとそうなる。ふふふ、寂しいね、 悲しいね、抱かれたいね。独りは嫌だね。あられもなく乱れたいよね。 男が欲しい男が欲しい。せっかくできた赤ちゃんも、見る目のなさで 殺してしまった。子供だって欲しいよね・・ふふふ」  このとき私・・両手で耳を塞いで体を丸めていたのです。  小僧さんに何もかもを言い当てられて、聞きたくなくて泣いていた・・。
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