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「泣いちゃった・・ふふふ、可愛いね。でも、可愛い可愛いマリ
ちゃんなのに、なんで泣く?」
「ぅぅ・・ぅぅぅーっ」
どうしようもない孤独です。郷里を離れ、ごくわずかの人妻時代
を除いて、ほとんど独りで生きてきた。
作家になりたい夢もあり、だからこの仕事を選んで頑張ってきた
つもり。
でも、この部屋に独りでいると、何のためにと考える。
誘ってくれる人はいる・・なのに勇気がないみたい。
ダメになった結婚を考えて、ひどく臆病になっている。
仕事よ仕事、旦那なんて邪魔なだけ。
そう思ってきたけれど・・孤独につぶされてしまいそう。
そうです、そんな状態だったとき節穴小僧を知ったのです。
だから私はワラにもすがる想いで飛びついてしまったの。
小僧さんが言いました。
「目が怖いのは」
「う、うん?」
「目がないからさ。僕には体はないけれど目だけはあるよ。怖がって
恥ずかしがっているけれど、震えているのは怖さじゃないよね。見ら
れて見られて、感じて感じて震えてる。避けても避けても目が来る
から、心が女になっている。覚悟なんてできてるはずだよ。マリちゃ
んは結界の中にはいられない。きっとそうなる。ふふふ、寂しいね、
悲しいね、抱かれたいね。独りは嫌だね。あられもなく乱れたいよね。
男が欲しい男が欲しい。せっかくできた赤ちゃんも、見る目のなさで
殺してしまった。子供だって欲しいよね・・ふふふ」
このとき私・・両手で耳を塞いで体を丸めていたのです。
小僧さんに何もかもを言い当てられて、聞きたくなくて泣いていた・・。
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