0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふふふ、もう気づいたみたいだね、早いねぇ、足りないのは
それなんだ。見えるものを見るから見えなくなる。見えないもの
を見ようとすると見えてくるものがある。さあ立って、いつまで
しゃがんでいるのかな・・ふふふ」
結界の向こう側は地獄であって、小僧さんは地獄の住人。
だとしても、私は小僧さんに悪意をまるで感じない。騙そう
なんて、そんなふうではありません。
それどころか、つつまれてる感じがするの。澄んだ瞳が大きい
の・・大きなものを感じるのです。
私は自然に立ちました。なんだかもう、恥ずかしさを通り越して
しまってる。
相手は亡者・・人生の大先輩・・そう思うと素直になれるし、
気持ちも欲求も、女としての欲望も、隠さず表現できそうで・・。
「うんうん、いい目になった、いい子だね・・さあさあ、恥ずかし
がらずに這ってごらん。そこに寝て体を開いて見せてごらん」
不思議な力に衝き動かされ、小僧さんの言うがままに、私は操ら
れていたのです。女としてのポーズというのか、ヘンな力みが消えて
いた。
そして・・私の中でそう心の所在が定まった瞬間、板壁に無数に
ある節穴すべてに、無数の目が覗くのです。もうどれが小僧さんの
目なのかわかりません。
「女の子・・可愛いね」
「いいカラダ・・抱きたいなぁ」
「揉んじゃうよ」
「舐めちゃうよ」
「ほうらほうら濡れてきた・・くくくっ」
ああ溶けていく・・浴びせられる無数の声が嬉しいの。
最初のコメントを投稿しよう!