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◇
家に戻った私は、いただいてきた不思議なものをテーブルに並べ、
あのときのことを考えていたんです。最後に彼女は笑って言ったわ。
「女なら、いつまでも心は娘で居続けたいと願うもの。そしてまた
女なら、女を見切ることの難しさに悩むもの。さあどうぞ、これを
お持ちになられて、じっくり自分とお話しください。どうかお幸せに」
若いのに深いところに通じている。そう思い、もしやこの子も三日
三晩・・と考えてみたりした。不思議な力をお持ちのお婆ちゃんの
お孫さんなのですから。
土日に休みを足して四日の休日をつくります。
その前にまず、少しはお部屋を片づけないと。覗く者が亡者で
あってもお部屋に干した下着ぐらいはきっちりしたい。
休みの前日、仕事で遅くなった私は、妙な緊張感の中であたふたと
みっともなく動き回っていたのです。
女独りのダレきった暮らし・・まるで大掃除なのですから、情けない
限りです。
目が冴えて眠れない夜をやりすごし、休み初日の午前中に何から
何までやり終えて、お風呂を済ませ、お部屋の中に飲むもの食べるもの
を用意して、それから準備にかかります。
下着まですべてを脱いで裸になります。ドレッサーの鏡に映し、
かろうじてまだ若いかな・・なんて思ってみたり。
「まず最初に、三日を過ごすお部屋の床の真ん中にお札を伏せて置いて
ください」
言われたように、フローリングの床のやや窓際に縦長のお札を裏返し
に置き・・。
「それから、お人形をこうして縦に二つに折って・・」
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