【三時のおやつは金平糖】

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  僕は慌てて制止する。 相棒は、僕以外の人間へ懐かぬ様に躾を施していた。 珍しい事ではない。 馬と云うのは一頭あるだけで、小さな寝所にも食糧にもなる。 万が一にも、犬の様に尻尾を振って敵方に付かれては困るからだ。 「如何した?」 しかし。 王が手を止める事は無かった。 不思議と、相棒が其れを拒絶する事も。 「……!」 「…よく、躾けてるな。」 「流石だ。」 傷に手を添えたまま、王は真っ直ぐに相棒を見ている。 何が起きているのだろうか。 相棒は間も無く、座り込む様に膝を崩してしまった。 其処で待つ事を、決めたと言わんばかりに。 戦場で。 此の悲惨とも言える光景を視界に入れたまま。 一体如何やって、主でもない人間が其の高揚する野生の本能を鎮めたと言うのだ。 (…計り知れない。) 恐ろしさにも似た滾りが、僅かに身を震わせる。 「待たせたな。」 王は何事も無かったかの様に、此処にまた戻って来る。 ずしりと跨がる覇気。 黒い馬が其れを、しっかりと支えた。  
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