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石畳を静かに、歩く。
戦ぐ風がまた新たな気配を運んで来た。
「……。」
「お帰りなさい、牧村くん。」
「……。」
「牧村くん?」
とさっ。
「!牧村くん!!」
「…大丈夫…です。」
「触れても、大丈夫ですか?」
「……済みません…。」
弱々しく言の葉を紡ぐ牧村。
抱き起こす身体は今日も、驚く程に軽い。
「ちゃんと食べてるんですか。」
愚問だとは知りつつ
つい世話を焼いてしまう瀬田に、牧村も力無く笑った。
「仕事が…」
「はい。」
「また、たくさんの人が死んだ。」
「……。」
「…また、たくさんの人を…殺めてしまいました。」
「貴殿(あなた)の責任ではありません。」
「…嫌い…。」
「……。」
「戦は……嫌い。」
「…よく頑張りました。帰りましょう。」
「皆さんの所へ。」
其のまま眠りに就く牧村を抱え、瀬田はいつもの縁側に彼を「帰す」。
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