1日目 ①

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 何を思ったのか、大通りに向かって走り出した子猫。  間が悪いことに、迫るのは大型のトラック。運転手はこの事態に気づいていない。いや、気づいたとしても遅すぎる。  ……やるしかない。  誰に尋ねたわけでもないが、私は自分自身の言葉にうなずく。  目を閉じて、意識を集中する。  すっと世界から音が消え、体を押さえつけるような強い力を上下左右から感じる。強い重力の中で強風が吹いているよう、というのが近い形容だろうか。  ぐわんぐわんと天と地が混ぜ合わされているような感覚で、乗り物酔いの様になってしまうのもいつものこと。  だけど、気持ち悪いなんて言っている暇はない。  目を開けたらすぐに行動しなければ間に合わない。    ──さあ、走れ私。
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