第8話

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「実は、主題歌も担当することになってるんだ。」 「えーーー!!やったー!!」 私は心から盛大に拍手をした。 驚き、というより、やっぱりねという誇らしさがわきあがる。 前回のドラマ同様、まさにいが出演する作品は、まさにいが主題歌も担当することが多い。 なんとなく予想はしていたものの、やっぱり嬉しくて。 しかし、次の言葉に私はさらに驚くことになる。 「でもね、今回は海君に歌ってもらえたらなって。」 染井海が、歌う? 「まさにいが作曲して、染井海が歌うってこと?」 「そう。」 驚いたでしょ、という顔でニッと笑ったまさにいに、私はその通り驚きを隠せないでいた。 「それって、染井海をプロデュースってこと?」 「まさにそれだ。」 私の言葉に、満足そうにほほ笑むまさにい。 えーー!!! 「流那も聞いたでしょ、こないだサンデーライブで海君の歌声。」 サンデーライブとは、まさにいの毎週担当しているレギュラーラジオだ。 言うまでもなく毎週録音しながら欠かさず聴いている私は、染井海がゲストだったその回もばっちり聞いていた。 「僕も前から海君歌うまいなーって思ってたんだけど。こないだ生で聞いて、やっぱりそうだって思って。リスナーからの反響もすごくって。 どうしてもコラボレーションしたくなっちゃってね。」 染井海の歌声…。 まさにいの弾くギターの伴奏に合わせ、CDでも聞きなれたまさにいのラブソングをデュエットで歌う。 まさにいの歌声を邪魔することなく、それでも確かに耳に届く、澄んだ歌声。 まさにいに似ているけど、どこか鋭さを持ったような、芯のある歌声。 それが私の持った印象だった。
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