第8話

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* 「…何しに来たんだよ。」 ありえない。 連絡もなしに突然一般人が家にやってくるとか。 仕方なく流那を部屋に入れ、自分は先に奥へ進んで問いかけると、俺の心を読んだように彼女は言った。 「ごめんなさいね、連絡もなしに突然おしかけて。 でも私、あなたの連絡先知らないし。」 ……それもそうか。 いやでも、板東さん通すとか。なんか手があるだろ。 「まさにいに頼もうかと思ったけど、私があなたの家知ってるってこと、知られたくなかったし。」 なんでこいつ、俺の心が読めるんだ? ズバズバ心の声に返され、不審に思っていると、彼女は肩にかけた重そうな鞄をバンと床に置いた。 ここ、おまえんちじゃないんだけど。 抗議の目でジロリと振り返ると、強い瞳で睨み返される。 なにを怒ってるんだ? 不思議に思い、眉を寄せると、彼女はすっと右手を挙げ俺をまっすぐ指差した。 「染井海、あなた。 まさにいのプロデュースを断るつもり!?」 そう言い放った。 俺ははぁーとため息をつき、ソファに座りこんだ。 何度となく杉田から言われた言葉。 なんでこんなやつにまで言われなきゃいけないのか。 「あんた、板東さんの差し金?」 そういうと、彼女は途端に怒りをあらわにして声を上げた。 「そんなわけないでしょ!まさにいを見くびらないで。私は私の意志で来たの!!」 「あんたの意志は、いつでも板東さんがらみだな。」 「ええそうよ。悪い?」 躊躇せずまっすぐに言い返され、俺はまたため息をついた。
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