第1話

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 ~Runa side~ 「ねぇね、昨日の月9、見たぁ?」 「見た見た~!海君、やばくない?」 「やばいよね!やばいよね!超格好よかったぁ~!!」 放課後の教室。 私の席を取り囲むようにして集まる女子3人組、真鈴(まりん)、涼美(すずみ)、佐保(さほ)は、昨晩のドラマの話題で盛り上がっている。 「えぇ~、俺は断然ひとみちゃん派だけどな。」 そこへまた、当たり前のように口を挟み、私の隣の席へ腰を下ろす男子、大輔(だいすけ)。 「あんたは男でしょっ!勝手に女子トークに参加してこないっ!」 「ちぇ~、ケチ。」 それをバッサリと真鈴に切り捨てられ、シュンとする大輔。 「で、流那は?どうだった?」 佐保の言葉に、その場4人全員の視線が私に注がれる。 「どうって、何が?」 その日出たばかりの宿題をせっせと片付けながら、久々に口を開く。 「どうって、だから、昨日の月9!見た?」 もどかしそうにする佐保。ふと顔をあげると、全員前のめりになって私の答えを待っている。 「見たに決まってんじゃん。まさにいが出てんだから。」 「そっかー。」 「そだったー。」 「そういえば主役だったね、板東雅貴…。海君に目がくらんでうっかり忘れてた…。」 私の一言に、三人三様で体を後ろに倒す女子三人。 「別にいいんですよ、まさにいの良さは、私だけが分かってれば。」 ようやく解き終わった計算問題集をパタンと閉じる。 「にしても、ほんと流那は年上好きだよね~」 しみじみと言う涼美に視線を送り、淡々と口を開く。 「涼美たちが好きな染井海だって、年上でしょ?」 先ほど盛り上がっていた「海君」もとい‘イケメン若手俳優’染井海(そめい かい)の年齢を思い浮かべる。確か現役大学生だったような。 「それはそうだけどっ!レベルが違うよ、海君と板東さんじゃ!板東さんって30位でしょ?」 「29です。」 すかさず訂正する。 「まーまー、人それぞれでいいじゃねえか。」 「あんたは黙ってて。」
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