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どうしたものだろうか。
仕事はこなさなければならないが、子供の友達を奪うべきではない。
「あなた、組合の人?」
困っていると、後ろから声を掛けられた。
「ああ、うん。そうだけど、何か用でも?」
僕は振り返って答えた。
そこにいたのは、身長が僕と同じくらいの女の子だった。
目は大きく、ぱっちりと開いていた。
いわゆる童顔だ。そして、なぜか白金色の鎧を着ていた。
「何か困ってるんですか?」
「この村の事でね。仕事を終わらせることはできるのに、どうしても罪悪感を感じてしまうんだよ。」
「どうして悩むの?何が正しいかなんて、既にわかっているじゃない。」
「どういうことだい?」
僕は能力をあえて使わずに、続きを言うよう促す。
「罪悪感を感じるなら、それは悪いことだって自覚があるってことじゃないですか。」
なるほど、確かにその通りだ。
しかし、良い事には複数の視点があるのだ。
僕の視点だけで決めたことが必ずしも正しいわけじゃない。
「だから、仕事はしなくていいと?もしそうならば社会は成り立たなくなるが?」
「みんなが納得してくれるように説得すればいいんです。それが仕事です。」
・・・恐ろしいことを言う。
「不可能だ。それこそ狩猟を依頼されたのだから。」
僕は何故か彼女のペースに飲まれていた。
だから、必死で逃れようと反発した。しかし無駄だった。
「信じてみませんか。可能性はある、と。そうすれば絶対に出来ます。」
どこかで似た様な事を聞いた気がした。
・・・・・・無茶苦茶だが、やってみようと思えた。
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