1章 善と悪の差 3節 転ずる話

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~メイ視点~  私は正午にちょうど起きることができた。 冷蔵庫の中から適当な野菜を選んで、野菜炒めを作って食べる。 それにしても、伏字になっていた部分が気になる。 もしかしたら、能力者に関係することかもしれない。 ブラックソードについても調べてみたほうがいいのだろうか? できれば恩人のことをあれこれ詮索したくはないが、 もし危ない事に関わっている人だったら私まで危険かもしれないのだ。 私はノートパソコンを開いて、ブラックソードを検索した。 ‘該当する人物のデータはありませんでした。’ パソコンに表示された文字は、私の予想していたものとは違った。 「存在しない」ということは、存在自体が隠されているということ? その時、ガチャンという音がした。玄関の鍵が開く音だ。 父が帰ってきたのだ。 私は焦りながらパソコンの電源を落とす。 「明、家にいるのか?」 低い声が玄関から聞こえた。 「うん、いるよー。」 私は平静を装って答えた。 父がリビングに入ってきた。 「どれだけ心配したと思っているんだ。いつの間にかいなくなって。」 父は怒っていた。ただ、声を荒げているわけではない。 「森で迷っちゃって、それからいろいろあったんだよ。」 「いろいろ、ね。それは誤魔化すべき事なのか?」 「実は、能力を持っている事がバレちゃった。」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 父は黙り込んでしまった。雷が落ちなければいいのだが。 「誰だ?」 「へ?なんか言った?」 唐突でよく聞こえなかった。 「そのことを知ったのは誰だ?」 声が大きくなった。威圧感がすごい。 「ホ、ホワイト・ラバーって人・・・」 「なら、大したことはない。」 返ってきた言葉は意外なものだった。 「えっ!国家機密に関わってるんでしょ!」 そのせいで、つい口が滑ってしまった。 「どうして知っているんだ!・・・データベースを勝手に見たな?」 父は一瞬驚いたが、すぐに私を睨みつけてきた。 「いや、その、・・・・ごめんなさい。」 「二度と私のパソコンを使うんじゃないぞ。」 父はそう言って、自分の部屋に入っていった。 ・・・・見られたくないなら、定期的にパスワードを変えるべきだと思う。
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