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メイはアジア系の顔立ちをしていた。
高校生ぐらいの身長でかわいいと形容すべき服を着ている。
ブラックソードは紫になっている足首を氷で冷やしている。
するとメイが口を開いた。
「助けてくださって、ありがとうございます。このお礼はいつかします。」
・・・・・日本語だった。なんとなく分かってはいたんだけど。
この島にはあらゆる国から移民が集まっている。
ヨーロッパからの移民が最も多いので、普段はそれなりに会話できるが、日本語などはさっぱりわからないという人がほとんどだ。
ブラックソードもその一人だった。
僕は通訳をしてあげた。
ブラックソードは「別に大したことではない。必要ない。」と英語で言った。
「いえ、それでは申し訳ないですし・・・・」
どうやらメイは英語を理解できるようだ。今度は英語だった。
僕は時計を確認した。
八時二十分。
出勤時間は八時である。僕たちしかいないのはおかしくないか?
「なあ、ブラックソード。あいつらがまだ来ないんだけど、何か知ってる?」
「有給休暇をとって、温泉旅行に行った。」
「全員一緒にか?」
「そうだ。俺も誘われたが仕事の方が大事だと言って断ったんだ。」
僕は誘われた記憶がない。
・・・・・あいつら、僕を一人で置いて行くつもりだったのか。
「で、今日の仕事は何だい?」
ふてくされたように僕は聞いた。
「俺の机の上に封筒がある。それ全部だ。」
見ると、三十通程の封筒が小さい机に積まれていた。
二人でできる量じゃないな。
出来れば、手を付けたくない。
「・・・とりあえず、この子を家に送り届けてからにしよう。」
僕はブラックソードに提案した。ブラックソードがいない間は仕事に手を付けなくてもいいはずだ。
責任者は彼なのだから。
「そうだな。頼んだぞ。」
「僕が行くのか?」
「仕事はしたくないんだろ。だったら行け。」
僕の思惑は全て見通されていたようだ。
仕方なく行くことにした。
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