2人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は後ろの席にメイを乗せて、車のハンドルを握った。
「この国に来たのは最近なの?」
僕はメイに訊いた。
メイの家は首都であるキャスターオキングにあるらしい。
ここから車で二十分くらいで着く街だ。
僕はせっかくだから話でもしようと考えたのだ。
「はい。父がここで働いているから来たんです。」
「お父さんは何の仕事を?」
「この国の警察です。今日も仕事で山に行っています。」
なるほど、それならこの子が森の中にいたのも納得がいく。
この国の山といえば、森の中にしかないからだ。
「先程から気になっていたのですが、貴方方は一体?」
まあ、当然の疑問だ。
「君を助けたのはブラックソード、僕はホワイト・ラバーだ。国家承認の脅威対策組合という所で働いている。仕事内容はまあ、警察に似たものだよ。」
「警察はあんな怪物を相手にしません。あれは一体何ですか?」
メイの言葉からは怒気が感じられた。
「この島に生息している二枚貝のようなものだよ。人を潰して食べるけど。」
「そんなに危険な物がいるんですか。よく生きてられますね。」
どこか刺のあるように聞こえる。
もしかしたら、嘘をついていると思われているのだろうか。
「この世界は広いんだ、特殊な能力を使える人間くらいいたっておかしくないだろう?」
普通に考えればおかしい。
なんの脈略もなくこんな話をするのだから。
だが事実、能力者はここにいるのである。
最初のコメントを投稿しよう!