1章 善と悪の差 1節 警察長官の娘

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 僕は後ろの席にメイを乗せて、車のハンドルを握った。 「この国に来たのは最近なの?」 僕はメイに訊いた。 メイの家は首都であるキャスターオキングにあるらしい。 ここから車で二十分くらいで着く街だ。 僕はせっかくだから話でもしようと考えたのだ。 「はい。父がここで働いているから来たんです。」 「お父さんは何の仕事を?」 「この国の警察です。今日も仕事で山に行っています。」 なるほど、それならこの子が森の中にいたのも納得がいく。 この国の山といえば、森の中にしかないからだ。 「先程から気になっていたのですが、貴方方は一体?」 まあ、当然の疑問だ。 「君を助けたのはブラックソード、僕はホワイト・ラバーだ。国家承認の脅威対策組合という所で働いている。仕事内容はまあ、警察に似たものだよ。」 「警察はあんな怪物を相手にしません。あれは一体何ですか?」 メイの言葉からは怒気が感じられた。 「この島に生息している二枚貝のようなものだよ。人を潰して食べるけど。」  「そんなに危険な物がいるんですか。よく生きてられますね。」 どこか刺のあるように聞こえる。 もしかしたら、嘘をついていると思われているのだろうか。 「この世界は広いんだ、特殊な能力を使える人間くらいいたっておかしくないだろう?」 普通に考えればおかしい。 なんの脈略もなくこんな話をするのだから。 だが事実、能力者はここにいるのである。
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