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考えごとをしていて近藤さんが呼んでいるのにすぐに反応できなかった。
「椎くんは何か心配事があるのかい?」
とくに気にせずに聞く近藤さん。いい人である。
「え?」
「だってさっきから上の空で綺麗な顔の眉間に皺を寄せているよ」
知らず知らずのうちに顔にでていたらしい。
「そんなに皺を寄せているとトシみたいになってしまうよ」
横目で土方さんを見ると土方さんも眉間に皺を寄せて団子を食べている。
「ふっ」
こらえきれず吹き出してしまうと片耳で聞いていたのか土方さんが振り返って目が合ってしまった。
「雑賀原の次男坊は何か悩みがあるのか」
ぶっきらぼうに聞かれた。
「え、と、悩みというか幼なじみが心配で…」
「幼なじみ?」
「あ…篤史のことなんですけど、一人で浪士組に参加するって言ってて」
最後まで言わないうちに近藤さんに口をはさまれた。
「それは心配ないよ…だってその浪士組には試衛館も参加するからね」
「そうなんですか??」
「うん。白信流とは違ってうちは農村出の平民が多いからね」
「そうなんだ…篤史一人知らない人達の中でやっていくのかと思ってましたが良かったです。……篤史をお願いします」
いきなり頭を下げた私に何故かびっくりした様子の試衛館一同。
「いやいやそんな……君は篤史くんを大事に思っているんだね」
「はい…かけがえのない友人の一人です」
「そうか。では私達ができるだけ篤史くんを見ていてあげよう」
「ありがとうございます!!」
苦笑しつつも近藤さんは私に顔を上げるよう言った。
「仮にも武士に頭下げられては断れないよ」
そうだった。私は雑賀原の次男として紹介したんだった。雑賀原に恥じない行動をしなくてはいけないと改めて思う。
「面白い奴だな」
ぼそりと土方さんが言って私はまじまじと彼の顔を見てしまった。
「ん、何だ?」
釣り上がった目は高い鼻と二枚目かつ渋い顔によく合う。私はつい見惚れてしまい、あわてて言い訳をする。
「いや…土方さんってすごいかっこいいな、て思いまして……」
尻窄みになったのはきっと気のせい。
「「「え」」」
側でずっと黙っていた沖田も会話していた二人も重なって疑問符を飛ばした。
「椎くん……」
「俺がかっこいい、て!?」
「あー」
三者三様だが皆呆れているようだ。
「椎くんは本気で言っているのかい?」
「俺は…まぁかっこいいほうだが……」
「自覚なかったんですか?」
なんなんだろう。私には分からない話がされている。
「「「君はとんでもない美形だよ?」」」
「え!?」
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