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みゃーお 猫の鳴き声がする コトノハは反射的に足を止めた 「どうしたの」 神無月が不思議そうに硬直しているコトノハを見ると 少し青い顔で眉を引きつらせていた 「今、ね 猫の声がしたのような…気がして…」 「猫?」 町の路地裏から白い猫が姿を見せる いつしかコトノハが治癒で治した猫だった 「わあ、可愛い」 神無月は慣れた手つきで猫を撫でる 猫はされるがままで喉を鳴らす 気が付けば二人だけの空間ができ、ひとり取り残されるコトノハ 「コトノハさんもこっちにおいでよ 可愛いよ~」 「可愛い…ですか…」 「うん」 神無月は素直に応える 少しためらった後、コトノハは猫の傍による だがどうすればいいのかわからない 困りながら猫を眺めていると 神無月が助け舟を出した 「こうやって撫でるといいよ」 「こう…ですか」 神無月の手付きをよく見て コトノハも恐る恐る猫に触れた 柔らかな毛並の感触 暖かい体温が指先に伝わってきた よし決めた また猫の生態に関する本を読もう 心の中でコトノハは固く誓った
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